はじまりはワーゲンバス。e-モビリティの開発物語 NO.2 2018/09/09 トピックス 変化の波が訪れてきていたとはいえ、そう現実は変わっていませんでした。しかし、電気自動車の技術に関しては実現化が近づいていました。 Kalberlahは言います。「私たちのチームは比較的独立していて、開発に没頭できました」と。開発チームは、複雑なバッテリーシステムの開発や、モーター制御のプロセスのテストなど、先進的な研究を進めてきました。「今ではほとんど信じられないことですが、アナログコンピュータでハイブリッドエンジンのシミュレーションまで試みました」 そのわずか2年後に、彼らは大手電力会社のRWEとコラボした初めてのクルマを発表しました。それがTypeⅡ e-キャンパーだったです。 »誰もが様々なドライブテクノロジーを研究していました« 全てが始まったとき。 Adolf Kalberlahはこの1970年の出来事を昨日のことのように覚えています。 それはフォルクスワーゲン社がWolfsburgに未来研究センターを設立した年。このセンターの早急な課題の1つがe-モビリティの開発でした。電気化学の博士号を持ち、バッテリー研究の専門家として活躍していたKalberlahが責任者として就任しました。 「世界の石油埋蔵量はあと20年しかもたないだろうと言われていたのです」と彼は笑いながら当時を振り返ります。 しかし、オイルショックと石油の高騰は、1970年代初めに世界の大都市の大気汚染が深刻化していくのと同時に現実のものとなったのです。環境保護が課題として浮上し、誰もがガソリンに代わる自動車の研究をはじめました。もちろんフォルクスワーゲンも研究の最前線を歩んでいました。 TypeⅡ e-キャンパー(電動) 最高速度:70 km/h 航続距離:約70 km バッテリー重量:850 kg 充電時間:10時間 »100km毎にゼロリッター« “100km毎にゼロリッター”は、e-キャンパー開発のスローガンでした。 「私たちは、電気自動車をとても誇りに思っていました。なぜならシティコミューターとして最適だったからです。公用車やサービスバン、地元圏内の配達などの用途にぴったりなのです。」市内を走る分には、十分なバッテリー容量で、220ボルトのコンセントがあれば、どこででも充電が可能でした。 しかし、200台を越えるテスト車を開発しましたが、実際には20台強の発注しかありませんでした。クリーンな電動自動車は決して安くなく、また重量増もマイナス要因でした。積載されるバッテリーの重量はおよそ1トンで、定期的なメンテナンスにも手がかかります。「特別なジャッキやフォークリフトを使ってバッテリーを一旦吊り上げて車両から外し、また積載する手間がかかりました」 RWEは空になったバッテリーを新しいものに素早く換える技術を開発しましが、手間がかからない新しいバッテリーの開発は、e-キャンパーの開発から数年後のことでした。 次の記事 前の記事
変化の波が訪れてきていたとはいえ、そう現実は変わっていませんでした。しかし、電気自動車の技術に関しては実現化が近づいていました。
Kalberlahは言います。「私たちのチームは比較的独立していて、開発に没頭できました」と。開発チームは、複雑なバッテリーシステムの開発や、モーター制御のプロセスのテストなど、先進的な研究を進めてきました。「今ではほとんど信じられないことですが、アナログコンピュータでハイブリッドエンジンのシミュレーションまで試みました」
そのわずか2年後に、彼らは大手電力会社のRWEとコラボした初めてのクルマを発表しました。それがTypeⅡ e-キャンパーだったです。
»誰もが様々なドライブテクノロジーを研究していました«
全てが始まったとき。
Adolf Kalberlahはこの1970年の出来事を昨日のことのように覚えています。
それはフォルクスワーゲン社がWolfsburgに未来研究センターを設立した年。このセンターの早急な課題の1つがe-モビリティの開発でした。電気化学の博士号を持ち、バッテリー研究の専門家として活躍していたKalberlahが責任者として就任しました。
「世界の石油埋蔵量はあと20年しかもたないだろうと言われていたのです」と彼は笑いながら当時を振り返ります。
しかし、オイルショックと石油の高騰は、1970年代初めに世界の大都市の大気汚染が深刻化していくのと同時に現実のものとなったのです。環境保護が課題として浮上し、誰もがガソリンに代わる自動車の研究をはじめました。もちろんフォルクスワーゲンも研究の最前線を歩んでいました。
TypeⅡ e-キャンパー(電動)
最高速度:70 km/h
航続距離:約70 km
バッテリー重量:850 kg
充電時間:10時間
»100km毎にゼロリッター«
“100km毎にゼロリッター”は、e-キャンパー開発のスローガンでした。
「私たちは、電気自動車をとても誇りに思っていました。なぜならシティコミューターとして最適だったからです。公用車やサービスバン、地元圏内の配達などの用途にぴったりなのです。」市内を走る分には、十分なバッテリー容量で、220ボルトのコンセントがあれば、どこででも充電が可能でした。
しかし、200台を越えるテスト車を開発しましたが、実際には20台強の発注しかありませんでした。クリーンな電動自動車は決して安くなく、また重量増もマイナス要因でした。積載されるバッテリーの重量はおよそ1トンで、定期的なメンテナンスにも手がかかります。「特別なジャッキやフォークリフトを使ってバッテリーを一旦吊り上げて車両から外し、また積載する手間がかかりました」
RWEは空になったバッテリーを新しいものに素早く換える技術を開発しましが、手間がかからない新しいバッテリーの開発は、e-キャンパーの開発から数年後のことでした。